フランツ・カフカは言い、村上春樹が書きたいのはまさにそんな本だという。
カフカ賞授賞式のあいさつより
http://book.asahi.com/news/TKY200610310226.html
『海辺のカフカ』(村上春樹著)は、
私にとって、そんな斧になった……ような気がしている。
この上巻を読んだのは、半年くらいまえ、
イネスが脱走する直前だった。
特に好きな作家ではないので、なんとなく読み始めた。
この本には猫語を理解し、
近所で猫探しの名人といわれる、ちょっと風変わりなおじさん、
ナカタさんという人物が登場する。
イネスを探しながら、ナカタさんのことを思い出したものだ。
そして、この上巻でもっとも印象に残っている言葉は、
「万物はメタファーだ」というもの。
だとするなら、イネスがいなくなったり、
ねこが立て続けに病気になったり、
子猫がちゃんと誕生してくれないことは、
いったい、何を意味するのだろう……?
考えても答えは出ず、堂々巡り。
ハムスターが、回し車の中で延々と走っているみたいだった。
10日くらい前、たまたま立ち寄った本屋で
『海辺のカフカ』下巻を買った。
私のために書いてくれたのかしら? というくらい
私が必要としている言葉がたくさんあって、
端を折ったページばかりになってしまった。
時々それらを読み返すと、不思議と心が落ち着く。
例えば。
「僕はどうすればいいのかまったくわからなくなってしまった」
というカフカ少年に
性同一性障害で同性愛者で血友病患者である大島さんは、こう言う。
「いろんなことは君のせいじゃない。僕のせいでもない。予言のせいでもないし呪いのせいでもない。DNAのせいでもないし不条理のせいでもない。構造主義のせいでもないし、第三次産業革命のせいでもない。僕らがみんな滅び、失われていくのは、世界の仕組みそのものが滅びと喪失の上になりたっているからだ。僕らの存在はその原理の影絵のようなものにすぎない。風は吹く。荒れ狂う強い風があり、心地よいそよ風がある。でも、すべての風はいつか失われて消えてゆく。風は物体ではない。それは空気の移動の総称にすぎない。君は耳を澄ます。君はそのメタファーを理解する」
この部分は、牛のように何度も何度も反すうしてしまった。
全ては私のせいじゃない、と思ってもいいのだろうか。
そして思い出したのが、高校の国語の授業で先生が紹介してくれた
小林秀雄の言葉。
「自己嫌悪とは自分への一種の甘えだ。
最も逆説的な自己陶酔の形式だ」
この言葉が紹介されたのは、
カフカの「変身」、中島敦の「山月記」、
阿部公房の「棒になった男」など、
変身譚をいくつか扱った授業だった。
自分を責めたり嫌悪したみたところで、それが陶酔ならば
そこからは何も生まれないし、何も始まらない。
『海辺のカフカ』のカフカ少年も、最後は
「逃げ回っていてもどこにも行けない」と、
現実の世界に戻っていく。
カフカ少年と大島さんの物語だけじゃなく、
長距離トラックの運ちゃん・星野青年とナカタさんの物語、
星野青年とクラシック喫茶のマスターの出会いなども、
とても魅力的なものに感じた。
1冊読み終わった時、まさに「心の内部の凍った海」が割れたような、
そんな感じがあって、翌朝起きた時は、
不思議なことに、頭痛や肩凝りや倦怠感・疲労感といった
身体症状まで消えていた。
小説は好きで、読みながら泣いたり、心を揺さぶられたり、
という経験はたくさんあるけれど、こんな感じははじめて
自分でも驚いている。
(村上春樹は好きな作家じゃなくて、どちらかというと苦手だったのに)
ただ、一度割れた氷がまた凍っちゃうこともあるよね、、、
と思ってもいたのだが、今朝未明、イネスが無事に元気な
赤ちゃんを産んでくれたことで、その氷も溶けたかもしれない。
いったんいなくなったイネスが帰ってきてくれて、
元気な赤ちゃんを産んでくれたことも、
何かのメタファーなのかな。
きのこきょうだい、ワクチン接種してきました。
だるだる〜の、ウニくん&エノキちゃんです。
明日、ちゃんと成長記録撮って更新したいと思います。
イネスの子たちは、目が開いたら成長記録つくります。
イネス&レオの子、全員クラシックタビーです(当然ですが)。
やっぱりクラシックはいいですねぇ。成長が楽しみです。
【女中(RIEN店長)の最新記事】





それがいい!(*^_^*)
私は学生時代に村上春樹のデビュー小説「風の歌を聴け」を友達に
教えてもらってからのファンです。当時はよくわからなかったけれど、
その後出版される本の言葉に、自分の胸の支えがとれるような思いを
したのは私も初めてでした。
世間一般にメジャーになったのは「ノルウェイの森」ですが、それ
以前からも傑作はたくさんありました。
イネスちゃん赤ちゃん生まれたのね。
無事の出産、おめでとうございます。
無事に仔猫が生まれたことが、RIENさんには何よりの喜びなの
でしょう。その喜びと気持ちが落ち着いたことが、猫たちにも
伝わってますよ。
仔猫、いっちょ前になったら、また見せてくださいね(^。^)
お写真楽しみにしております★
村上春樹さんの『ノルウェーの森』は以前お話した気がしますが、
私の母校津田塾と、兄の住んだ和慶塾の主人公のお話ということもあり、とても思い入れが強い作品。
そんな中、ノルウェージャンとの出会いは、必然だったのかも・・・・
最近お伺いできておりませんが、それも、今NY出張中で、NYにおりますが、(梅たんはキャットシッターさんと日々遊んでいる模様。。。毎日レポート写真が届きます★)
帰国しましたら、お伺いします♪
文章の書き方というか表現の仕方が好きです。
でも、ノルウェーの森からの作品はあまり、、なんだか、、
で、カフカは久々の(あたしの中での)ヒットでした。
感銘を受けたといういうよりは、笑い転げましたが^^;
まいたけちゃんほれ込んでましたが、イネスちゃんの子かぁ。
しかも、クラッシックタビー。
すっごく気になります。 UPされるの楽しみです。
お返事遅くなって失礼致しました!
>ねこのBeeさん
村上春樹さん、お好きなんですね。
私は、好きじゃないのに、なぜか沢山読んできている、という謎の作家でした(笑)。
『海辺のカフカ』読んで、ファンが多いことの
理由がようやくわかったような気がします。
ほんと、無事に子猫が生まれてくれて
ホッとしました。
是非、一緒に成長を見守ってやってくださいね。
>うめままさん
もうNYからお帰りになった頃かしら。
出張お疲れ様でした!
(でも、NY出張なんて、かっこいい!!)
いま生まれてる子たちは、桜姫のきょうだいです♪
ドンくさかわいい子たちになるのかしら(笑)。
お会いできることを楽しみにしておりますね!
>青空さん
『海辺のカフカ』私もずいぶん笑いました。
すごい発想力の方だわ〜と。
でも、村上春樹作品の中では一番感銘受けましたよー。
まいたけちゃんもかわいいけど、
イネスの子たちも個性的でかわいいですよ♪
八雲くんみたいなのもおりますんで、
成長記録、楽しみにしていてくださいね♪