先日、2種類のフードについて、いいと思うかどうか、
ご質問をいただきました。
そのお返事を少し修正したものを、こちらにもアップしておきます。
フードについては、時々ご質問をいただきますが、
だいたい、こんな感じのことをお答えしているかと思いますので、
ご参考になれば幸いです。
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★フードその1
●原材料/米粉、ポークミール、小麦粉、鶏肉、グルテンミール、動物性油脂、アルファルファミール、ビートパルプ、ビール酵母、ポテト、チーズパウダー、セルロース、酵母エキス、鮪・鰹粉末、鮪、 精製魚油(DHA・EPA源)、フィッシュソリュブル、オリゴ糖、植物性油脂、植物抽出発酵エキス、チキンエキス、ニンジンパウダー、タンポポ粉末、オオバコ粉末、コラーゲン、 L-カルニチン他
●保証分析値/粗タンパク質 27.5%以上、 粗脂肪12.5%以上、 粗繊維8.0%以下、
粗灰分9.0%以下、 水分10.0%以下、 カルシウム 0.7%以上、 リン0.5%以上、 マグネシウム0.09%(標準値)
●代謝エネルギー(ME)/320kcal/100g
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★フードその2
●原材料
チキンミール、とうもろこし粉、玄米粉、コーングルテンミール、鶏脂肪、トマト繊維、オートミール、ニシン粉、オート麦糠、ナチュラルフレーバー、えんどう豆繊維、ビール酵母、乾燥チキンレバー、乾燥チコリー根、アボカドオイル、アボカドミール、タウリン、レシチン、塩化カリウム、炭酸カルシウム、乾燥ユッカ、メチオニン、乾燥昆布、パセリ、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンB2、ナイアシン、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB1、ビオチン、ビタミンC、亜鉛多糖複合体、マンガン多糖複合体、鉄多糖複合体、銅多糖複合体、コバルト多糖複合体、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム
●保証分析値/粗蛋白:32%以上、粗脂肪:16%以上、粗繊維:6.5%以下、マグネシウム:0.095%、水分:10%以下、粗灰分:6.5%以下、タウリン:0.15%以上
●代謝エネルギーME:356kcal/100g
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一般論ですが、猫は肉食動物ですので、
フードは、なるべく動物性たんぱく質の割合が多いものがよい、と考えられています。
栄養学の分厚い本(獣医さん向け)にも、猫の栄養の理想として、
ねずみの栄養成分が載っていたりしますが、非常にたんぱく質が多いです。
フードのラベルには、材料と成分表示がありますが、
そこから推測して動物性たんぱくが多いフードを選ぶとよい、と考えています。
まず、材料ですが、含まれる量が多い順に書かれていますので、
少なくとも最初の3つは動物性たんぱくであることが望ましいと考えています。
そして、「●●ミール」は、くず肉などをリサイクルしたものと言われるので、
「●●肉」と記載されているほうが望ましいと思います。
メーカーによっては、「当社のフードの材料のチキンミールは〜〜〜」と
説明しているものもあり、そのような場合は、栄養価が高いことを
主張していますが、肉の処理中にできた、安価な材料であることは
同じなのではないかと思います。
簡単にいえば、具体的にイメージできる材料で作られているものを
選んでいただくといいかと思います。
「鶏肉」と書かれていればイメージできても
「チキンミール」って何? と思いませんか?
油脂も同じで、「鶏肉脂」と明記されていればよいのですが、
「動物性油脂」とある場合には、何の脂かわかりません。
こういう記載はよくないと言われています。
(もはや都市伝説かとは思いますが、処分された犬猫からとった脂が
ペットフードに使われており、その場合には「動物性油脂」と記載される
というようなことが書かれた本もあります)
また、成分表示は、粗たんぱく質が多いもののほうがいいです。
粗たんぱく質を比べる際、厳密には、水分量を除いた「乾燥重量」を
計算して比べる必要がありますが、
ドライフードは、「水分10%以下」という表示が多いので、
その部分が共通であれば、粗たんぱく質が多いものほど望ましい、ということになります。
そして、「灰分」は、文字の通り燃焼せず残るもので、
くちばしや爪などが含まれている、と言われることもありますので、
少ないほうが望ましいと思います。
以上を前提に、上記2種類のフードののラベルを読んでみてください。
フード1の材料の最初の5個は、
米、ポークミール、小麦粉、鶏肉、グルテンミール、動物性油脂とならんでいますよね。
フード2の材料の最初の5個は、
チキンミール、とうもろこし粉、玄米粉、コーングルテンミール、鶏脂肪です。
材料を見ると、どっちもどっちかな〜、ちゃんとしたお肉使っているかな〜?と
少々不安になりますね。
現時点では、私はフード1もフード2も選ばないと思います。
フード1とフード2を比較してどちらか選べ、ということになったら、
フード2かな、という感じです。
成分割合を見たとき、両者水分が10%以下で、
フード1よりフード2のほうが粗たんぱく質が多く、灰分が少ないですよね。
ただ、どちらも材料はとうもろこしや米が多いので、
粗たんぱく質が多いといっても、
動物性たんぱくの割合は少ないかも・・・という推測ができますよね。
なので、材料にもっとお肉や魚が使われていて、
粗たんぱく質が同じかもっと多いもののほうがいいかな、と思います。
私はこの2つのフードを選ばないだろうと思いますが、
絶対にダメ、とは思っていません。
ねこの食いつきがよく、おなかの調子もよく、
入手しやすいのなら、それはそれでいいと思います。
飼い主さんが、厳選したお高いフードをあげていても病気する子もいれば、
いわゆるジャンクフードを食べていても病気ひとつせず、長生きする子もいます。
「これならどんな猫にも大丈夫」というおすみつきフードを選べといわれても難しいし、
「これは絶対にダメ」というフードを選ぶのも、案外難しいものです。
食いつき、おなかの調子、入手しやすさなどで、
いいかも、と思えるフード2〜3種をローテーションするといいと思います。
1種しか食べない子になってしまうと、大変ですので・・・・
(そのフードが入手できなくなったり、リニューアルした場合に、
食べてくれるものがなくなっちゃいます)
フードの話をすると、AAFCOの基準のこと、酸化防止剤のこと、
ドライとウェットの違いなど、キリがないです。
2004年〜2007年くらいの間は、栄養計算しつつ手作りごはんを作っていましたが、
最近は、市販フードに頼っています。
よいと思って使っているフードが円安の影響で値上がりしたので、
少し安いフードにしたら、半分以上のねこがおなかPになったり、、、と
いいと思うものと経済事情の兼ね合いで、いろいろ迷っています。
(この暑さで電気代も……)
以前は、フードのことや手作りごはんについての講座も開催していましたが、
最近は気力体力が衰え、講座内容を練り直すこともできず、
数時間しゃべることもできません。
でも、たまにはそういう機会を作って、
勉強しなおすことも必要ですよね〜。
フード選びの基本的なところは10年たっても変わらないと思うけれど、
病気と栄養の関係などは、まだ知らないことや新しい情報も
たくさんあるはずですからね〜。
たまには頭使ったり、緊張したりしないと、どんどんボケちゃいそう。
がんばらなくちゃ…、もう少し涼しくなってから。
あ、ビゼーちゃん&エルヴァちゃんのお写真をいただいています。
イリナちゃんのブログもあわせて近日中にご紹介しますね。
2013年08月07日
この記事へのトラックバック
家に来たばかりの時、最初に頂いたモノの食いつきがさほどでもなく、その後いろいろ試していたのですが、結局、食いつきの良いものを優先にしていたため、あまり成分表を見ていませんでした。
その結果かもしれませんが、胡桃が結石を持ってしまい、その後ずっと療養食?(病院で処方される)で暮らしています。(それすら食いつき抜群ですが。餡はどのフードでも大して食べないから同じ。)
胡桃ちゃんや餡くんをお譲りした頃は、
私もフードや猫の栄養についてあまり勉強していませんでした。すみませんです。
悲しいことに、ジャンクフードほど食いつきがよいのですよね〜。
結石は、フードの問題もあるし体質の問題もあるので、
なんともいえないところですが、
下部尿路疾患の処方食の一部に、非常に塩分が強いものがあり、
それをずっと食べていたら、腎不全になりやすいのでは?
と思っています。
それから、若いうちはストルバイト結石が多く、
10歳を過ぎるとシュウ酸カルシウムの結石が多くなるといいます。
ストルバイトを溶かすために、尿を強度に酸性にする処方食だと、
シュウ酸カルシウムができてしまう場合もあるようなので、
ご注意くださいね。
栄養学の勉強をきちんとしている獣医さんは
案外少ないので、獣医さんが処方しているから安心、と
思っていると落とし穴があることもあるのです・・・
食が細い子だと、何より食べてくれることが優先になるので、
栄養バランスが〜などといってられないこともあるんですけどね。
いいと思うフードを経済事情であげられないこともあるし、
お高いフードでも食べてくれないこともあるし、
病気の子は処方食を食べてくれず、
健康な子がそれを喜んで食べたり・・・と
私自身も、日々、試行錯誤と葛藤です・・・