2018年08月26日

みなさんのおうちの猫さんのワクチンについて

私が大騒ぎしているので、皆さんもワクチンについて
あれこれ心配しているご様子。申し訳ない……。

お外に行かない猫さんは、
生後16週、1歳頃、4歳頃、7歳頃、10歳頃、の
ワクチン接種で、十分に感染症を予防できると思います。
大切なのは、母猫からの移行抗体がなくなる16週頃のワクチンと、1歳のワクチンです。
(まれに、16週を過ぎても移行抗体が残っていることがあるため、
1歳頃のワクチンも重要です)

いろいろ調べてみると、ワクチンの抗体価はかなり長いこと残るようです。
犬のパルボウィルスワクチンの抗体が15年以上残ることもある、とか
ワクチンは、移行抗体が完全になくなってから接種したものであれば
一生効果が持続するといった記述も目にしました。
ワクチンの抗体価が低くなっても、即感染するということはあまりなく、
メモリーB細胞が機能していれば、ウィルスが侵入した時に
すみやかに抗体をつくることができ、感染を防御できるそうです。
(ただし、抗体がどれくらいあるかどうかは検査できるけれど、
メモリーB細胞が機能しているかどうかを検査することはできません)

ワクチンには、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、
発熱や元気・食欲喪失といった症状、繊維肉腫といった副作用が
起きる場合があります。
この副作用を重視する先生方は、「成猫はワクチンの間隔を3年以上あけるべき」と
お考えのようです。

他方、現在でも毎年の接種を推奨する獣医さんもいらっしゃいます。
その理由は、日本のワクチン接種率の低さにあります。
欧米では、ワクチンは3年に1回程度が主流だけれど、
それは、欧米のワクチン接種率が高いからできることであって、
日本は、法律で義務化されている犬の狂犬病のワクチンですら
接種率が50%以下で、パルボ、ヘルペス、カリシなどの混合ワクチンの
接種率はそれ以下なので、ひとたび感染症が大流行した場合に、
犬猫を守るためには、毎年1回のワクチンが必要だ、というものです。

この集団防疫の観点、最初はなるほどそうか、と思っていたのですが、
よくよく考えると、ワクチン接種率の問題と、
個体のワクチンの間隔の問題って、関連するの?という疑問が……。
例えば、現在、日本の猫カフェもしくは
野良猫の間でパルボウィルスが大流行してしまった、とします。
その場合、3年に1回しかワクチンを接種していない、完全室内飼育の猫にも
パルボウィルスが大流行してしまうのでしょうか?
そんなことはないような気がしてならないのですが……。

パルボにしてもヘルペスやカリシによる猫風邪にしても、
成猫が感染しても、劇症化することはあまりなく、
死亡に至るケースはほとんどないと思うので、
一般家庭で完全室内飼育の猫ならば、
1歳できちんとワクチンを打っていれば、
その後は、ワクチンや感染症に神経質になる必要はないと思います。

保護猫活動をされていたり、猫カフェに行くのが好きだったり、
野良猫の写真をとるのが好きだったり、という方の飼い猫さんは
少なくとも3年に1回、ご心配ならば毎年、ワクチンを接種するといいと思います。
(私は、ワクチン接種を否定しているわけではありません。
可能なら限り減らしたほうが、副作用のリスクを下げられるなと思っています)

感染症やワクチンについて詳しく知りたいかたは、
以下のサイトを参考になさってください。

↓飼い主向けにわかりやすくかかれたもの。

★「混合ワクチンを接種するねこちゃんのオーナーさまへ」
あかつき動物病院さんが、世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチンガイドラインを
わかりやすく簡単にまとめたもの。
http://www.akatsuki-ah.com/img_top/2017vaccineCat.pdf

★こねこのへや「ワクチン接種」
ワクチンの種類(生か不活化か、3〜7種など)、
打つべき時期、副作用などについてわかりやすくかつ詳細にまとめてあります。
https://www.konekono-heya.com/byouki/vaccine.html

★マルピーライフテック社
「犬や猫のワクチン抗体価検査について知ろう」
4コマ漫画で、抗体価検査について説明してあります。
https://www.koutaika-kensa.info/



↓獣医師・研究者向けなので難解だけれど詳細なもの。

★猫汎白血球減少症(パルボ)
日本感染症研究会㏋「ABCDガイドライン」より
https://jabfid.jp/SiteCollectionDocuments/FPV.pdf

ABCDガイドラインは、ヘルペス、カリシ、クラミジア、FIPなどについても
とても詳しくて参考になります。

★「ワクチン免疫の基礎と臨床
ーワクチン効果を上げるもの下げるものー」
本川賢司著(学校法人北里研究所 生物製剤研究所)
http://www.kachikukansen.org/kaiho/PDF/4-2-39.pdf

★世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチンガイドライン2015年版
https://www.wsava.org/WSAVA/media/PDF_old/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf











posted by RIEN at 15:22| 東京 ☀| Comment(0) | 病気・健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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