2019年06月28日

動物愛護法改正・マイクロチップの義務化

動物愛護法が改正され、動物虐待が厳罰化されました。
現行:2年以下の懲役または200万円以下の罰金

5年以下の懲役または500万円以下の罰金、となりました。
たくさんの方々がご尽力されたのでしょうね。
まだ甘いのかもしれませんが、少しでも抑止力が強くなり、
むごい事件が、もう金輪際なくなりますように。

動物取扱業に対する規制も厳しくなりました。
説明事項が増加して、販売できる場所が事業所に限定されました。
(いったんショップやブリーダー宅でご見学いただいて、諸々説明すれば、
その後に販売業者からお届けにあがるのはOKとのこと。
空港や駐車場での受け渡し、
事業所での見学なしで飼い主宅へ販売業者が届けることがNGになるそうです)

そして、販売業者は、動物にマイクロチップを
挿入&登録することが義務づけられ、
飼い主は、その登録情報を変更することが義務付けられるようになります。
販売業者の義務は法的義務ですが、飼い主の義務は努力義務とのこと。
(施行は3年後)

これ、私にとっては大問題でして……。
マイクロチップ自体は10年以上前から全子猫に挿入して、
私の名前で登録し、オーナーさんへの登録変更はしていません。
(オーナーさんが変更しようとすると、獣医師会から私に連絡が入るのですが、
事情を説明し、私の名義のままでお願いしています。
現在は、マイクロチップ挿入・登録が販売者の義務ではなく、
私が勝手にやっていることなので、名義変更しないというのも問題なしです)

そもそも、マイクロチップを入れるようになったきっかけは、
MAIAちゃん(当時茶子ちゃん)が、
譲渡後、伊豆の猫博物館に捨てられてしまい、
たまたま、私がネットサーフィン中に見つけ、
博物館とオーナーさんに連絡を取り、返してもらうことができ、
新たにオーナーさん募集をした、という事件です。
MAIAちゃんは、新しいオーナーさん(SOLくんオーナーさん)のところで
幸せに暮らし、今年16歳になっています!

万一、うちの子猫が、譲渡後にどこかに捨てられてしまって、
警察や動物愛護センターで保護された場合、
マイクロチップの所有者名義を私にしておけば、私のところに連絡が来ます。
もし、名義変更が義務付けられた場合、最悪、うちの子が
愛護センターで処分されてしまう可能性もあり得ます。
(今、処分の件数は各都道府県で大幅に減っていますので、
処分されてしまう可能性は低くはなっていますけれども)

施行まで3年あるとはいえ、心配で、動物愛護センター、
日本獣医師会(マイクロチップ相談窓口)、環境省に問合せました。
(かなり細かくいろいろと質問してきました。
クレイマーみたいでゴメンナサイ)

それぞれの回答を箇条書きにしておきます。

●東京都動物愛護相談センターの回答
条文を見る限り、所有権が移転したら、所有者名義に変更する必要がある。
細かいことは、これから環境省の省令で決められるのでなともいえないが、
販売者名義のままにしておくことはできないのではないだろうか。
ただし、所有権が移転しない、というかたちにするならば、
販売者の名義のままにしておくことはできるかもしれない。
(動愛法ではなく民法の問題になるかもしれない)
質問や意見は環境省に言ったほうがよい。
(環境省の連絡先を教えてくれた)

●日本獣医師会
現在、マイクロチップのデータベースは、過去の所有者を追える構造にはなっていない。
日本獣医師会では、一般人からの個別の照会には応じていない。
動物愛護センターなどで保護した犬猫にマイクロチップが埋め込まれている場合、
そこから日本獣医師会に問合せがくる、というシステムではなく、
愛護センター側でデータベースを検索するようなシステムになっている。
所有者の名義変更が行われた場合、最終所有者しか検索できず、
最終所有者と連絡が取れない場合、過去の所有者をさかのぼることはできない。
(現在は、登録、変更は日本獣医師会が行っているけれど、
そのデータベースを検索できるのは、愛護センターなど限られたところのみ。
個人情報の問題があるので、当然一般公開はしていない)

現在は、マイクロチップの申請用紙の作成、データベース管理を
日本獣医師会が行っているが、法改正後はいったん環境省の管轄になるはずだ。
それから、再度日本獣医師会や他団体になる可能性はあるが、
そのあたりから、今は何も決まっていないので、
質問や、意見は環境省に言ったほうがいい。

ここで、「うちで生まれた子が捨てられた場合に連絡が来るようにしてほしい」と
再度申し上げると、「実は私たちにとっても頭の痛い問題なんです」とのこと。

私以外にも、犬猫ブリーダーで万一の時に自分に連絡が来るようにしたい、と
ブリーダー名義でマイクロチップ挿入・登録をしている方々がいる。
保護団体でも、せっかく譲渡したと思ったら、
その子が捨てられたり虐待されたりという事件があり、
保護団体名義でマイクロチップ挿入・登録しているところがある。
ショードッグの場合、所有者とハンドラーの住所が異なることも多く、
犬が、ハンドラーのもとで過ごす時間が長い場合があり、
そういう場合の名義も問題になりうる。

そういったことは、環境省がどのように省令を定めるかの問題で、
申請書にどんな欄を作るか、も含めてこれから決まる。
申請書に新たな項目として、所有者以外に「動物の所在地」が
できることは決まっている(狂犬病予防法とそろえるためだと思われるとのこと)

●環境省 (法改正に深くかかわったといいう方が電話に出てくださった)
省令が定められるまでのスケジュールだが、
逆算して考えると、おそらく令和3年6月頃に細則が定められ、
秋ごろにパブリックコメントを募集し、翌令和4年に施行されるだろう。
パブリックコメントで意見を言ってもいいし、
今の段階で、メールなどで環境省に意見を言ってくれてもいい。
この電話も、今後の参考にするが、環境省あてに再度メールをいれると
スタッフ皆で共有できるだろう。

私、他のブリーダー、保護団体が、
譲渡後の遺棄を恐れていることはよくわかった。
なるほど、そういう問題はあり得ると思うし、
新たな所有者への名義変更を義務付けることにより、
遺棄された犬猫が処分されるような事態は避けたいと思う。
遺棄された場合は所有権放棄とみなされると思うが、
そのような場合は、過去の所有者をさかのぼって連絡が取れるような
仕組みを考えたいと思う。

覚書、ここまで。

環境省の方は、とても丁寧に話を聞いてくださいました。
動物愛護センターの方に、所有権を移転しないで猫を渡す、という
ケースを示唆されたので、民法をちょっと探してみましたが、
使用貸借にしても寄託にしても実情とあわなそうです。

私も、所有権にこだわっているわけではなく、
万一の場合に、私にも連絡が来るようなシステムにしてくれれば
それで問題はないので、環境省にメールを送り、
省令案が出たらちゃんとチェックし、パブリックコメントを送ります。
それでだめなら、コスモスさんに相談して、譲渡契約の方法について
民法でなんとかならないか、考えることにします。

私のブログをご覧になっている方に、
ブリーダーさんや保護団体の方はあまりいらっしゃらないかとは思うのですが、
もし、私と同じ問題意識をお持ちの方がいらっしゃったら、
是非、環境省に意見メールを送ってみてください。
もしくは、令和3年にパブリックコメント募集された時に
意見を送ってみてください。

環境省の窓口
https://www.env.go.jp/moemail/

今回の件の問合せ先は、自然局 動物愛護管理室 だそうです。

動物虐待の厳罰化や動物取扱業者の規制強化については、
多くの方が問題意識を持たれて、署名運動に参加されたり、
パブリックコメントを寄せたりされていると思うのですが、
マイクロチップ義務化の上記問題点については、
あまり話題にならないと思うのです。
法の抜け道ではなく、落とし穴になってしまいそうな部分だと思うので、
誰も話題にしてくれなくても、環境省に意見し続けます。
(ペットのためにマイクロチップを義務化したのに、
そのペットについて責任を取りたいという人間・団体を
データベースから除外することになってしまうのは、問題ですよね!)
有難い民主主義の国ですから、決まった法律は守ろうと思うのですが、
決まる前にできることはやっておこうと思います。

最後に、念のため。
うちの子猫たちのオーナーさんのことは、99%以上信頼しています。
信頼している方にしか子猫をお譲りしていません。
でも、状況の変化、というのは万人にありうるのです(私にも)。
オーナーさんが事故や病気で亡くなって、ご親族の方がいやいや猫をひきとって
遺棄したり、脱走してそのまま、、、ということだってあり得ます。
あまり想定しがたい状況ではありますが、MAIAちゃんの前オーナーさんも
ご見学にもいらしてくださって、いい方だと信頼してお譲りしているので、
やはり、万一の場合に、猫が私のところに戻ってこられる方法、を
残しておきたいのです。どうぞご理解くださいね。

あっ!
環境省がマイクロチップ申請用紙を作り直すならば、
猫のカラー表記についても意見しておこうかな。

現在、猫の毛色コードは、
茶、黒、白、シルバー、ゴールド、クリーム、
白茶、白黒、茶トラ、キジトラ、サバトラ、三毛、
その他、の13種しかないのですよ。

猫種として、ロシアンブルーがあげられているのに、
毛色に、ブルーはおろか、グレーもないのですよ!!
キジトラ&ホワイトも、サビ猫(ホワイトなし)も、
ブルーもアンバーもクラシックタビーもすべて「その他」。
長毛か短毛か、という項目もないし。
もう少し、なんとかならんものですかね……。

なんだか長文の記事ばかりで、猫の写真や動画をアップしてなくてすみません。
来週は、もう少し猫の写真や動画をアップしたいと思います(努力目標ということで……)
posted by RIEN at 22:07| 東京 ☁| Comment(0) | 女中(RIEN店長) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: