2025年03月24日

猫の心疾患のセミナー

かかりつけの先生が、心臓専門医による猫の心疾患のセミナーを
オンライン受講されたとのことで、
私が知りたそうなことについて
情報を共有してくださいました。

猫の家族性肥大型心筋症(HCM)について、
家族性(遺伝性)とそうでないものの区別について、です。

猫の肥大型心筋症の約5割が家族性だそうです。
遺伝子の変位箇所がわかっているものもあるし
わかっていないものもあります(ノルははっきりわかっていません)。
こちらは、純粋に心筋の問題なので、
心雑音がないことが多く、
薬はピモベンダンが第一選択薬になるそうです。
(テノーミンは効かないそうです)

家族性でないHCMもとても多く、
約5割は家族性ではないそうです。
家族性でないHCMの特徴は、
まず、僧帽弁前傾運動(SAM)があり、
その後、心筋が肥大していくそうです。
SAM自体は生理現象であって、心疾患ではない、と
世田谷の先生から説明を受けたことがあります。
こちらは弁の問題なので、心雑音が聴取されることがあります。
(カラードップラーで見ると逆流があることも)
弁の問題から心臓に負担がかかり、心筋が肥大していく場合は、
家族性ではないそうです。
この場合の第一選択薬はテノーミンだそうです。

テノーミンは、血圧を下げて心臓に流入する血液量を減らすなどで
心臓にかかる負担を減らすお薬です。
弁の問題で心筋に負担がかかっているならば、
心筋にかかる負担をとってあげれば、
症状が緩和するということなのでしょう。
しかし、家族性HCMの場合は、心筋自体の異常のため、
心臓にかかる負担が減っても症状が変わらず
強心作用のあるピモベンダンを使って
心臓の働きをサポートする必要があるのでしょう。

ということは、我が家のパンダと伏姫は、
テノーミンがとてもよく効いているので、
家族性ではないHCMということになりそうです。
(伏姫は心筋4ミリ以下になったので、一度薬をやめてみる予定です。
薬をやめても心筋厚が維持されるなら、一過性心筋症なのでしょう)
伏姫の娘の野菊をどうしようかと思っていましたが、
伏姫が家族性ではない一過性心筋症であるならば、
エコー検査が問題なければ、野菊は交配OKと考えてよさそうです。

また、カベルネときつつきは現在グレーゾーンということで
経過観察中ですが、テノーミンを飲ませてみて、
症状が改善されるなら、家族性ではない、という
判断ができるかもしれません。
外国から猫のお迎えが決まったので、
とっとと去勢しようかと思っていましたが、
もう少し様子をみたほうがよさそうです。
(早まらなくてよかった。先生有難う)

また、猫が心疾患になりやすいのは、体質の問題であって
仕方ないのだという説明もしていただきました。
猫は、怪我をしたとき等に細胞が増えても
血管新生が起きないんだそうです。
それは心筋も同じで、心筋に負担がかかって
心筋が厚くなってもそこに毛細血管ができず、
栄養を送ることができないため、
収縮がしっかりできなくなってしまうそうです。

人間や犬は心筋が厚くなっても血管新生が起きるため、
心筋症にはなりにくいとのことでした。
たしかに、犬は弁膜症が多いですし、
人間は、冠動脈の動脈硬化による心筋梗塞が
多いように思います。

猫のHCMに、家族性とそうでないものがあるとして、
一過性心筋症(TMT)にも家族性とそうでないものがあるのかは
わかりません。

私も試行錯誤しておりますが、PCR検査がきちんとできず
家族性のものとそうでないもの、一過性のものがある以上、
どんなに頑張っても、「心疾患の生まれない家系」を
作り上げることは、現時点では不可能なのだと思いました。

すでにうちの猫と暮らしている皆さまはもちろん、
うちの子猫をご検討くださっている皆さまも、
雑種・純血種問わず、猫を飼いたいと思っている皆さまも、
猫は心筋症を発症しやすいのだということをご理解いただき、
定期的な心臓の検査をしていただくことをお勧め致します。

ずいぶん、外国の猫予約しちゃったし、
その後も問い合わせを続けているんだけど、
ちょっと早まっちゃったかな……。
posted by RIEN at 19:34| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 病気・健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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